時代が求める『拓殖人材』育成のために、
学園共同体の総合力を活かして、
教育の質保証を重視した
効果的な改革に全学を挙げて取り組んでまいります

学校法人拓殖大学 理事長 岡戸巧

今、世界は変革の時代を迎えています。そんな時代に強く求められるのは積極性と自主性が高く、あらゆる民族から尊敬される幅広い教養と品格を備え、国内外で活躍できる有為で多様な価値観を持つ人材です。
本学は1900年(明治33年)、台湾協会学校として創設されて以来、台湾の開発事業をはじめ、アジア各地域で広く活躍できる人材(=「拓殖人材」)の育成に積極的に取り組んでまいりました。1919年(大正8年)に制定された校歌には『人種の色と地の境 我が立つ前に差別なし 膏(こう)雨(う)ひとしく湿さば 磽确(こうかく)やがて花咲かむ 使命は崇し 青年の力あふるゝ海の外』と、人種を超えた国際人としてアジア各地域で使命感に燃えて現地の人々とともに汗を流す卒業生、その地で信頼を得て地域の開発事業や福利の発展に取り組んできた姿と精神が謳われています。
終戦後の1950年代、本学再建に尽力された第10代矢部貞治総長は初代校長桂太郎公の訓示、及び校歌にある『民族の平等と人間尊重、国際友愛の理想』を踏まえ、本学建学の理念を『積極進取の気概とあらゆる民族から敬慕されるに値する教養と品格を具えた有為の人材の育成』と表現し、本学のミッションとして今日まで引き継がれています。
創立百周年記念式典を挙行した2000年(平成12年)、本学は天皇、皇后両陛下のご臨席を賜り、天皇陛下より以下の有難いお言葉を頂きました。
『第2次世界大戦後 、日本と日本を取り巻く環境は大きく変わりました。しかし 「積極進取の気概とあらゆる民族から敬慕されるに値する教養と品格を具えた有為の人材の育成」という建学の精神は今日に生きるものであり、日本が今後ますます国際社会の平和と繁栄に貢献していくためにも、この大学から、国内においてはもとより、開発協力を始めとする様々な分野で世界を舞台に活躍する人々が数多く送り出されていくことを期待しております。』
世界の未来に向け、人口の膨張や減少の問題、AIの進化による経済や社会環境の再編、急速な地球規模の気候変動など、さまざまな課題があります。その重要な課題解決に向け、高等教育機関の果たすべき役割は益々重要なものとなっています。こうした背景の中で本学は抜本的な改革への取り組みを行い、これからも「国際的視野を持ち、積極的にチャレンジしていくタフな人間力を身につけたグローバル人材(= 拓殖人材 )」を育成してまいります。2021年には、これまでの成果を踏まえつつ、SDGsのゴール年でもある2030年に向けて「学校法人拓殖大学 中長期計画【教育ルネサンス2030 】」を策定いたしました。
「学園共同体」として各設置校(拓殖大学並びに拓殖大学北海道短期大学、拓殖大学第一高等学校)とともに、時代の要請に応えるべく「教育の質保証」を推進して『拓殖人材』育成の更なる充実を行うとともに 、今まで以上の「財政基盤の強化」に努めてまいります。
これからも、拓かれた国際大学のパイオニアとして、学生・教職員に加え、学友会及び後援会との連携を強め、アジアを始めとするグローバルサウス、そして世界を舞台に本学で学んだことによる確固たる自信と誇りを持って活躍できる「拓殖人材」の育成に全学を挙げて取り組んでまいります。

2030年に向けて、本学の使命を達成するために
「拓殖大学2030教学経営会議」を設置しました

本学はこれまで2020年を見据えて法人の財政基盤の確立と教学改革『教育ルネサンス2020』(2015年~2020年の戦略)を進めて来ましたが、この度、10年後の2030年に向けて、法人並びにその設置する学校(拓殖大学並びに拓殖大学北海道短期大学、拓殖大学第一高等学校)の設置目的及び使命を達成するため、持続可能な更なる財政基盤と教学体制の構築を目指して私立学校法の一部改正(令和2年4月1日より施行)、第45条第2項「大学を設置する学校法人は『認証評価』の結果を踏まえて法人事業に関する中期的(5年以上)な計画等(教学・人事・施設及び財務等)を作成すること」を受け、常務理事会メンバーを中心に中期的教学並びに経営についての戦略策定会議「拓殖大学2030教学経営会議」を設置しました。