改革改善の取組

Improvement Reform

  • 実践教育

2024.10.22

実践的な職業教育の充実
-国際学入門Ⅰ-

科 目 名:国際学入門Ⅰ  
テ ー マ:水を通して国際問題を考える
実 施 日:2024年7月17日(木)
担当教員:国際学部教授 新田目 夏実
講  師:Abdulahi Kassim Oumer(アビドュラヒ・カシム・オウマリ)氏
    (特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン広報部/八王子国際協会理事)

活動内容:
国際学入門は現代の国際社会が直面する諸問題と国際学部で学ぶ各コースの関連を、専門的観点からやさしく解説することを目的とした科目である。「きれいな水」「衛生的トイレ」「安価でアクセスしやすい水」は多くの開発途上国では、依然として深刻な状況にある。今回の講義では、エチオピア出身で環境問題の専門家であるAbdulahi Kassim Oumer氏をお迎えし、現代社会が直面する緊急な課題であり、SDGsのゴール6でもある「環境問題」を、「水」問題との関連で学ぶことが目的である。エチオピアはアフリカで最も長い歴史を持ち、文化豊かな国であるが、学生にとってあまり馴染のない国でもある。そこで、まず、エチオピアの言語と文化、経済開発の状況、複雑な民族構成と宗教と政治問題などについてご紹介いただいた。

次に世界の水問題の現状について説明があった。まず、7億300万人が清潔な水へのアクセスがなく、15億人が適切な衛生設備(トイレ)を利用できないこと、3分の1の家庭に石けんと水が使える手洗い設備がなく、43%の保健医療施設に清潔な手洗い設備がないこと、また、特に学校において、安全な水や清潔なトイレが不足している点について具体的な説明があった。その主たる原因が資金不足であるが、Oumer氏によると、水問題の現状に関する基礎的データの欠如に加え、施設の設置と維持のためには住民自身が声を上げ、参加することが必要である。そこで、Oumer氏がメンバーでもあるNPO法人ウォーターエイドジャパンが、資金集め、住民組織化や、水問題の重要性に関するアドボカシー(啓発)活動で重要な貢献をしていることを紹介された。

最後に、エチオピアで実施された日本の国際協力事業である「東部県キレヘ郡における水・衛生事業」(令和3年度外務省日本NGO連携無償資金協力事業)についてお話いただいた。同事業の対象地域であるキレヘ郡は山岳地帯に位置し不衛生な川の水に依存してきたため、健康被害が生じていた地域である。この事業によりトイレと給水施設が建設されたこにより、住民の衛生環境・衛生習慣が大幅に改善したことについてご紹介いただいた。

講演の後、水問題に加え、エチオピアの文化、経済開発、政治的対立、民族抗争など、現代エチオピアが抱える諸問題について積極的な質疑応答が行われた。今回は水問題を中心としたご講演であったが、広くアフリカ地域研究に関する関心も喚起することができたのではないかと思われる。

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