科 目 名:経済政策論
テ ー マ:マクロ経済分析におけるオルタナティブデータ活用について
実 施 日:2024年7月2日(火)
担当教員:政経学部助教 山田 春菜
講 師:久保田 荘 氏(東北大学大学院経済学研究科 准教授)
活動内容:
東北大学大学院経済学研究科 准教授の久保田荘氏に「マクロ経済分析におけるオルタナティブデータ活用について」と言うテーマでご講演いただきました。
冒頭、久保田氏による「経済学は科学なのか?」という問いかけから講演が始まり、経済学も科学も同じ「社会を良くする」ことを目標として、2020年コロナ禍における10万円給付の効果分析についてご紹介いただきました。
10万円給付の効果分析について、菅政権曰く「技術的に困難」なものです。しかし、久保田氏をはじめ、経済学者や物理学者、企業の協力のもと、効果検証は可能となりました。分析において肝となるのは、10万円給付効果の識別であり、久保田氏らは、ある時点で給付金をもらった家計とまだもらっていない家計の差に着目し、10万円給付効果の識別を試みました。
そのためには10万円給付の日付や貯蓄額・消費額といったデータが必要となります。政府統計など従来のデータではこうしたデータは利用不可能であるため、久保田氏らはみずほ銀行やマネーフォワード社と協力して従来データよりも細かいオルタナティブデータを活用することで、識別を可能にしました。結果として、流動性制約に直面している家計ほど消費が伸びていることが明らかになりました。仮に所得が低い人にのみ給付した場合は、消費増加効果が限定的で、貯蓄が低い人に給付した方が良いという結果となりました。
本講演は、授業で扱ったDiD(差分の差分法)などの手法を用いた応用例でもあり、トピックも身近で学生にとって非常に有意義な講義となったと実感しています。