改革改善の取組

Improvement Reform

  • 実践教育

2026.7.22

実践的な職業教育の充実
―3年ゼミナール・4年ゼミナール―

科 目 名:3年ゼミナール・4年ゼミナール
テ ー マ:「役に立たない」が武器になる 〜教養=最強のコミュニケーション力〜
実 施 日:令和8年7月8日(水)
担当教員:商学部准教授 市原 乃奈
講  師:河合 冬樹 氏(駿台中学部数学科専任講師)

活動内容:
「すぐにお金にならない知識」は本当に無駄なのだろうか――。河合冬樹先生の講演は、若者が「将来役に立たない」と敬遠しがちな教養こそが、予測不能な社会を生き抜くための「最強のコミュニケーション力(一生モノのOS)」になるという力強いメッセージから始まりました。

講義では、時折プロレスの話題を交えながら会場の笑いを誘う一方で、その背景には壮絶な原体験があることも語られました。「進んで貧乏くじを引け」という父親の教えと、学歴至上主義の母親の抑圧。その両極端な環境の狭間で、一時は死を考えるほど苦悩した経験や、学生時代には暗記で試験を乗り越え、人とは違う行動ばかりをしていた自身の姿を率直に振り返られました。

そうした逆境や経験から導き出されたのが「思考=試行」という先生独自の哲学です。たとえ自分にとって不利な状況であっても逃げずに向き合い、「試行」を重ねることで突破口が見えてくること、その泥臭い過程の中でこそ「新たな自分に見合うもの」が発見できるかもしれない。これは決してすぐに答えが出るものではなく、挑戦し続けることで初めて生まれる力だと熱く語られました。

また、「自分の個性が分からない」と自信を持てずにいる学生たちに対し、「個性なんてものは幹に生える枝や葉でしかない。個性が無いと思うなら、まずは太い幹を磨け!」と真剣な眼差しで投げかけました。笑いに包まれていた空気が一変し、本質を突いたその言葉は聴講者全員の胸に深く突き刺さりました。

先生は長年、「できない」とレッテルを貼られた子どもたちを救う活動に取り組まれています。その際、精神的な拠り所としているのは寺子屋を推進した吉田松陰であり、教育者としての指針はアン・サリバンです。「サリバンがヘレン・ケラーに奇跡を起こせたのは、彼女自身が初心者だったから。だから自分も常に初心者でありたい」と語り、目の前の子どもは一人ひとり違うのだから、過去の経験に驕ることなく毎回ゼロからのスタートで向き合うという謙虚な姿勢を貫いています。

講演の終盤では、ご家族との別れを契機に、教育の枠を超え、保育から看取りまで人の生涯に寄り添う支援についても模索していることに触れ、「自分に何ができるかを常に『思考=試行』する人生でありたい」と締めくくられました。

すぐに役立つマニュアルはたちまち陳腐化します。しかし、深い人間愛と絶え間ない試行の中で磨かれた「教養」という太い幹は、どんな状況にも向き合える揺るぎない人生の基盤となるはずです。

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