改革改善の取組

Improvement Reform

  • 実践教育

2022.12.7

実践的な職業教育の充実
-国際社会学-

科 目 名:国際社会学
テ ー マ:ウクライナ難民緊急人道支援~日本のNGOによる貢献
実 施 日:2022年11月10日(木)
担当教員:国際学部教授 新田目 夏実
講  師:森山 俊輔氏(特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム 渉外広報部広報担当)
活動内容:
現在世界で最も喫緊の課題がロシアによるウクライナ侵攻です。その結果、今までにも例のないような規模で難民が発生し、支援を必要としている状況にあります。すでに各国が多くの支援の手を差し伸べてはいますが、現地情勢に関する報道は軍事・政治的側面が多く、難民の生活状況や難民支援の実態については伝えられることが少ないです。難民問題は「人の移動」を扱う「国際社会学」の中では重要なテーマであります。そこで、本企画では、国際社会学の授業の一環として、ウクライナ本国および周辺諸国で行われている難民支援活動に焦点をあて公開授業を行いました。具体的には、現地で活動する日本のNGO団体をコーディネートしているJapan Platform(以下JPF)と、JPFの支援を受け現地で実際に活動しているNGO「ピースウィンズ・ジャパン」(以下PWJ)の担当者においでいただき、「ウクライナ難民緊急人道支援」の実態についてお話しいただきました。

まずJPFの森山俊輔氏(渉外広報部広報担当)からは、ウクライナの隣国モルドバにおける経験に加え、JPFが緊急人道支援の仕組みとして官民のパートナーシップのもと作られ、JPFが集めた資金がメンバーNGOの活動に配分されること、60以上の国・地域で1900以上(総額760億円)以上の事業の支援をしていることが紹介されました。さらに、今回のウクライナ支援においては、民間による人道支援のために政府が拠出した35億円がJPFにより管理され、すでに20以上の事業として実施されていることなど、JPFの役割について詳しくお話いただきました。

次に、PWJの町浩一郎氏(コミュニケーション部広報・東京事務所マネージャー)と内海旬子氏(海外事業部東欧・中東マネージャー)からは、PWJが現地のニーズを探るために真っ先にウクライナで初動調査を行ったこと、その後、ウクライナとモルドバ各地において、戦闘地域からの退避支援、避難民に対する食料・日用品や緊急医療支援に加え、避難所の生活環境の改善を、現地団体とも連携の上実施してきたことが紹介されました。

最後に、依然として厳しい避難生活を強いられているだけでなく、冬を迎え暖房の確保が問題となっていること、避難の長期化につれ、精神保健・心理社会的支援が必要になりつつあること、また支援する側にもウクライナへの関心が薄れ「支援疲れ」が見え始めていることなど、新たな問題に直面していることについてもお話しいただきました。

以上新聞・テレビでは聞けないような緊急人道支援の現場の状況と、その中で専門職として人道支援に従事している方々の貢献について、参加学生は深く理解することができたのではないかと思われます。なお、公開授業の実施に際し、あらかじめ学生から質問を募集し、そのリストを共有した上で授業を行いましたが、学生の質問に答えるために詳細な資料を作成いただいたことも含め、今回の授業の準備に多大な時間をさいていただいたことに対し、あらためて記して感謝の意を表します。

JPF 森山俊輔氏
PWJ 町浩一郎氏
PWJ 内海旬子氏

この記事をシェアする