科目名 :外国語学部キャリアガイダンス・商学部キャリアデザイン
テーマ :「スペインオリーブオイル業界でマサルといえば私です―あの時の自分に言いたいこと―」
実施日 : 2021年10月8日(金)
担当教員 :佐野 正俊 外国語学部教授、近藤 真宣 外国語学部教授、安富 雄平 外国語学部教授
講師 : 乗附 勝氏〔Spain Japan Market S.L. 代表〕
活動内容 :
外国語学部では将来のキャリアデザインについて、早くから学生に意識してもらうため、一年生から履修可能な「キャリアガイダンス」の科目を設置しています(後期金曜日5限)。2021年10月8日の授業では、本学スペイン語学科OB(89期)の乗附 勝氏に「学生時代の自分に言いたいこと」というテーマでお話しいただきました。授業はスペイン・マドリードと八王子キャンパスA512教室をZoomで結んで行われました。
①楽しい留学時代
乗附氏は本学の長期研修プログラムで1989年夏にサラマンカ大学に11ヶ月留学し、サラマンカ大学の学生バンドに参加するなど、大変楽しく充実した留学生生活を送りました(その頃の様子については、外国語学部ホームページの『留学今昔』のコーナーで詳しく書く予定)。
②思うように行かなかった駐在員時代
大学4年生の6月に帰国するも、すでに心はスペインに戻っていた乗附氏。何とか日本のベアリング会社に入社し、サラマンカ工場に赴任、駐在員生活を始めることになった乗附氏でしたが、やがてアンダルシア地方に工場を構える日本の自動車メーカーに転職し、その工場がスペインから撤退してしまい失業してしまいます。工場撤収の理由がいかにもスペインらしく、労働者の労働に対する認識が日本人労働者のそれと大きく隔たっていたことだそうです。たとえば、オリーブの収穫期になると社員がこぞって会社を休んでオリーブの実の取り入れ作業を手伝いに行ってしまい、生産ラインが動かなくなるのだとか。
③一念発起して「食品輸出会社」設立
完全失業した乗附氏だが、トンネル工事での日本製シールド掘進機導入やスペインの新聞社への印刷機の輸出などに関わりつつ、自分が興味を持って働ける分野として食料品の貿易に注目し、スペインの販売者と日本の購入者との間をつなぐことを目的に「食品輸出会社(Spain Japan Market S.L.)」設立しました。今では、「スペインオリーブオイル業界でマサルといえば乗附勝」と言われるまでに会社は成長しました。
④学生時代の自分に言いたいこと
様々なエピソードを紹介しながら、乗附氏は、学生時代の自分に言いたいこととして、①日本の社会をしっかりと見ること、②仕事に使える確実なスペイン語(外国語)の運用力を身に付けること、③外国語を使う上で一番大切なことは日本語(母語)の読解力であること、を挙げました。
そして、拓大の後輩に対しては、「勉強・部活・バイト、何でもよいので、今しかできないことに熱心に取り組み、それに打ち込んでください。卒業して30年たってもそのことは覚えているのです。それは、無駄になってないということですよ」と述べた後、「しかし、それでも若いうちだからできること、自分の望むことに積極的に飛び込んでいかないと、未来は開けない」という言葉で講義を締めくくりました。